2011年4月16日土曜日

原子と原子核

1)「原子」、「原子核」
この世界のありとあらゆる物質は「原子」という構成単位で考えることが出来ます。
原子力発電所事故によってその名を最近になって頻繁に見るようになったヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、そしてウランなどは原子の名前の一種です。(元素や分子の名前ともなりますが…とりあえず話を先へ。)
次の原子の模式図を見てみましょう。
(Wikipediaより 著作権フリー)
これは、酸素原子の模式図です。原子はさらに、次の3つの構成要素に分けることが出来ます。
中央にある、赤の点、緑の点をそれぞれ「陽子」、「中性子」と呼びます。
陽子と中性子がギュッと中心部に集まって構成されているのが「原子核」と呼ばれるもので、上の模式図では黄色の大きな丸がそれを表しています。
(注:唯一の例外として、質量数1の水素(H)は原子核の構成要素に中性子が含まれません。これは、陽子一つで「原子核」を構成しているものです。)
そして、原子核を中心とする同心円上にぽつぽつと存在する青い点は「電子」と呼ばれるものを表しています。電子は、陽子と中性子から構成される原子核の周りを回っています。
陽子は正(プラス)の電荷をもった粒子です。
中性子は電荷がゼロ(その名の通り、中性)の粒子です。
電子は負(マイナス)の電荷をもった粒子です。
原子や原子核、あるいは陽子・中性子・電子は人間の目で直接肉眼で見られるものではありませんが、放射線や原子力、そして科学を理解する上で非常に大切なものです。

(補足)以下は、多くの人にとってとても難しい話です。どうぞ読み飛ばしてください。また、一読して理解出来なくても当然であると思います。
原子、原子核と電子の概念を簡単に説明するために上記のような説明を便宜上せざるを得ませんでしたが、実は上の説明は、現代の物理学、特に量子力学の分野では大間違いです。
(しかし、日本の教育において、高校化学や高校物理の過程では上記のような説明を用いるに留まっています。)

先ず、説明の視認性のために、上の図は明らかに縮尺が現実と異なっていることに注意しなければなりません。原子一つの半径は種類によって異なるものの、1×10-10[m]程度のオーダーです。それに対して、原子核のサイズは最も小さい水素原子核(すなわち陽子単体)で1×10-15[m]程度、大きな原子核でも1×10-14[m]に満たない程度である[1]ことがわかっています。
また、上の図では電子が同心円上にクルクルと回っているように描かれていますが、これも間違いです。電子は決して原子核を中心として同心円上を常に回っているわけではなく、そもそも、電子そのものがどの位置に存在するかという事を厳密に決定することは不可能です。
(Werner HeisenbergによるUncertainty principleを参照のこと。当然、不確定性原理により、量子力学的扱いの必要な原子核の位置についても厳密に決定される事はありません。)

量子力学における解釈の一つとして、電子は原子核の周囲の三次元空間内で存在確率密度関数に従って存在する、粒子としての性質と波動としての性質を同時に持ったものである、という考え方があります。
電子の規格化された波動関数Ψの絶対値の2乗(|Ψ|=ΨΨ*)がその電子の存在確率密度関数であり、例として、各空間におけるその値を「濃淡」によってプロットした図が次のヘリウム原子の模式図です。

(Wikipediaより 著作権フリー素材)
もやもやとした雲のような空間的な広がり、「電子雲」というイメージで捉えられています。
[1]理科年表など、

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